荒井悦加(Arai Yoshika)

中学から陸上競技(中長距離)を始め、
社会人まで約20年競技生活を送る。
20歳まで全国大会出場経験もなかったものの、
社会人になり日本選手権優勝や日本代表を経験。
引退後、出産・育児・会社員などを経て、
日本スポーツメンタルコーチ協会認定資格を取得。
鳥取県境港市を拠点に活動。
2児の母。
自分の思い込みに気づいた高校時代
私は中学から陸上を始めました。
これといった結果もない普通の中高時代でしたが、私はインターハイ出場を目指して一生懸命練習していました。
そして高3時の地区大会。6位までがインターハイ出場というところで、わずかに届かず7位という結果に終わってしまいました。
インターハイは手の届くところまできていた。
でも、ほんの少し届かなかった。
なぜか。
私が私自身を信じていなかったからだ。
自分を信じて練習していれば、これくらいの差はひっくり返せたはずだ。
今日のこの結果をつくったのは、自分を信じなかった私だと。
そう思いました。
「私には全国のレベルは高すぎる」
私は今まで無意識のうちにそう思い込んでいたことに、ゴールした後に気がついたのです。
私の長い競技人生で、このレースは最も後悔したレースとなりました。
ですが、このレースでの後悔と気づきは、その後の私の人生に大きな影響を与えました。

大きな後悔と気づきから、目標を達成

写真:フォート・キシモト
大学に入学した私は、「全国で入賞する」と明確に目標を掲げ、自分を信じて日々練習することにしました。
そして大学4年時に、念願の全日本インカレや国体で入賞。
その後は実業団の道へ進むことになりました。
そして、「明確な目標を持つこと」と「自分を信じること」を信念に競技を続け、実業団4年目には、日本代表という高校時代の自分には想像もできなかったところまでたどり着くことができました。
けれど私は、日本代表という目標を達成したあと、少しずつ自分の中で何かがちぐはぐになっていくのを感じていました。
何のために走ってるかわからなくなった
日本代表になるような人は、自信に満ちあふれている人たちだと思っていた。
でも、私はそうはなっていなかった。
自分には自信がついていないことに困惑した。
どうして私には自信がないんだろう。
目標を達成したんだから、自信がついていてもいいはずだ。
でも、なんだかすごく不安を感じる。
自信をつけるためには、オリンピックに出なければ。
もっとちゃんと結果を出さなければ。
何かに、誰かに、貢献しなければ。
今まで自分がやりたくてやってきた競技だったのに、なんだか自分では背負いきれないものを抱えてしまったように感じていました。
やらなければならないという使命感と、変わってしまった環境、そして怪我。
私は、だんだん何のために走っているのかわからなくなってしまいました。
――全然楽しくない。
何のために私は走ってるのか。
そんな自問自答に対して、「楽しんでてもダメ」と言われたこともありました。
仕事として走っている以上、結果を求められる以上、楽しくないなんて言ってられない。
本気でやっていれば、楽しいと思える日なんてそうそうなくて当然。
「競技を楽しみたい」と思いながらも、「アスリートは楽しんでてはいけない」と、矛盾した思いに葛藤し、その否定を受け入れてしまっている無意識の自分がいました。
私は誰かに話そうともしなかったし、誰かにわかってもらえるとも思っていませんでした。
加えて、「誰かに知られたくもない」という感情も少なからずありました。
自分のちぐはぐな心を受けとめられなかったんだと思います。
ただただ、なんとかしようとしていました。
ざわついた心を押さえつけて、とにかくやるべきことに集中しなければと。
自分の心と向き合ってしまったら、走る意味をなくしてしまうような、なんだか漠然と良くないことになるような気がしていました。

あの頃の答え合わせがしたい
引退してからも、なかなか自分の心とうまく向き合えませんでした。
競技を見られない時期が長く続きました。
なぜ競技を見られないのか、追求もしませんでした。
だけど数年経った頃、
――答え合わせがしたい
そう思うようになりました。
あのとき自分はどうしたらよかったのか。
本当はどうしたかったのか。
そんな思いから、メンタルの勉強を始めました。
実際に学んでみて、当時の私は、自分の現在地を見失っていたんだと気づきました。
自分が何を感じ、何を望んでいるのか。
そこにきちんと向き合おうとしていなかった。
「自分のことは自分で考えて、自分で決めるべき」
「アスリートはメンタルをコントロールするべき」
自分では気づいていなかったそんな「思い込み」が、自分を孤独にし、苦しめていたんだと。
そして、
「アスリートは楽しめなくても仕方がない」
「競技を楽しみたい」
という自分の思いを否定してしまうこの思い込みは、心を苦しくさせただけでなく、競技力にもブレーキをかけていたんだと、メンタルを学ぶ中で気づきました。
悩み苦しんだ経験を、今度は誰かのために

自分と同じように、本当の思いと向き合えなかったり、結果を出したいのに自分で自分にブレーキをかけてしまったり、競技を楽しめなくなっているアスリートがいるんじゃないかと思いました。
実際にアスリートとして悩み、苦しんだ経験があるからこそ、できることがあるかもしれない。
アスリートの本当の思いに寄り添いたい。
そして、自分でも気づいていない思い込みや心のブレーキに気づき、それを外していくことができれば、その選手が本来持っている力をもっと発揮できるはず。
そんな思いから、スポーツメンタルコーチとして一歩を踏み出しました。
資格
【一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会認定】
◆スポーツメンタルコーチ資格講座 修了
◆プロスポーツメンタルコーチ資格講座 修了
◆チームメンタルコーチ資格講座 修了
◆プロチームメンタルコーチ資格講座 修了
